第15章 膝上のスカート【国見英】
彼は私の首元から離れると、何を思ったか、セーラー服の襟から手を入れる。
ひっ、と変な声が出た。
「…おまけにこんなかわいーのつけちゃってさ」
と下着のストラップを軽く引っ張る。ほんの少し背伸びをした、ピンクのレース。
顔が、これでもかというほど火照る。ここから逃げ出したい。でも逃げられない。
「何、今日は俺を煽りに来たの?」
「…っ」
何も答えられなくて、私は唇を噛んだ。
いや、答えられないんじゃない。答えるのが嫌ーーいや、それも少し違う。
私は怖いのだろうか。怖い?何がだろう。ーー分からない。
私がだんまりを続けていると、ふー…と彼がため息をつくのが聞こえた。
「…ごめん。ちょっと言いすぎた」
そう言って私から身体を離して、ベッドの端に腰掛けた。
彼が離れてからも私の鼓動はいやに早く、身体も火照ったまま冷めない。
「ちょっと、こっちも余裕なかった。少し脅かすだけのつもりだったんだけど…危なかった。ごめん」
「う、うん…」
私はゆっくりと身体を起こして、そっと彼の隣に同じように腰掛ける。
すると彼は驚いたようにこちらを見た。
「…やっぱ分かってないよ、お前」
「…えっと、ごめん」
謝ると、はは…と乾いた笑いを彼はこぼした。