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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第1章 青春の終わり、そして卒業【澤村大地】


「…なぁ、美咲」

急に大地が口を開いた。
やめろ、と言うのだろうか。そしたら私は彼の背中から離れなければならない。いや…背中から、だけじゃない。多分。
私たちは明日烏野高校を卒業する。大学は別々だ。大地は一人暮らしを始めると言っていた。
きっと、このまま私たちは会わなくなる。私たちの時間は思い出になる。現在進行形から、過去形になる。

あぁ、嫌だな。

きっと私は思い出にすることができないまま、この帰り道から動くことができない。新しい環境で新しい居場所を見つけた大地から目を背けて、何度も何度もこの道を歩くんだ。見えない背中を探して、何度も何度も。ちょっと涙が出そうになる。
私が泣いた時の、大地はちょっと面白い。眉を下げて、焦りで乾く唇を舐めて、私を困ったように見る。それから、周りに誰もいないことを確認して、
グイッて、
私の頭を自分の胸に引き寄せて、
ポンポン、って、
頭を撫でて。
その大きな手が大好きで、すぐに引っ込んだ涙を頑張って流してみたり。私、ちゃんと女の子だったんだなぁって今更思う。
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