第6章 Love Game【及川徹】
「なんだっけ、『何を言っても、何をしても…俺のものにはなってくれないんだね?』だっけ」
及川がゲーム機の中の彼の声色を真似て言う。
「『どんな手を使ってでも、お前のことを力尽くで奪う』」
「わああっやめて!ヤンデレは怖いから嫌!好感度減!」
「え、好感度下がるの?プレイしてるのに?」
「あれは特殊すぎる」
「なるほど」
クッションの上で胡座をかく及川が腕を組んで、うーんと考え込む。
「…『別にお前のことは嫌いじゃないっていうか…言わせんな、バーカ』」
「あ、ツンデレ?悪くないかも」
「えぇー、悪くないって…手厳しすぎじゃない?」
「というかよくそんな恥ずかしい言葉が思いつきますねー」
「ま、モテ男は色々と求められるのでね?」
はいはい、と適当に流すとムスッとむくれた。唇をんーっと突き出して。可愛い。
すると、また何か思いついたのか、いきなり背筋をピンと伸ばした。
「『先輩…俺はただの後輩ですか?俺は…先輩の彼氏には、なれませんか?』」
「いや、確かに後輩キャラは好きだけど!あんたがやるのはナシ!絶対ナシ!」
「うわぁヒドイ!」
「だってあんたそんなキャラじゃないじゃん…なんだっけ、大王様、だっけ?」
「大王様?…『貴様、この私に忠誠と一生の愛を誓え』…とか?」
「あはは!なにそれ!」
そういう意味で言ったつもりはなかったけど、なかなかに面白い。というか、及川の順応能力がすごい。モテ男、侮れないぞ。
「『たとえ世界を敵に回しても、僕は君を守る』」
「正統派王子キャラってこんなにイタかったんだ」
「『君に似合う男に、なるから』」
「及川にその台詞の似合わなさ…」