第4章 変わらぬ景色、変わりゆく時【西谷夕】
「で、何を気付かないフリすんだ?」
「え?あ、えっと…」
「珍しいな。そういうの、お前らしくないじゃん?」
答えに困って俯くと、夕は私を覗き込むように見てくる。
ーー放課後、裏門に呼び出されたんだ。
それだけの言葉を言えばいいだけなのに、夕を目の前に、何故か私は口ごもる。
何だろうこれ。夕にはこのことを知られたくないな、と思った。
「…夕には、関係ないよ」
キツい口調にするつもりなんて全くなかったのに、口から飛び出たトゲトゲしい言葉に自分で驚く。
滅多にない言い方に夕もびっくりしたのか、
「…そうか」
一瞬、夕が傷ついたような顔をしたのは、私の気のせいだろうか。