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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第4章 変わらぬ景色、変わりゆく時【西谷夕】



「…放課後、裏門か…」

教室の窓側の一番後ろの自分の席でこっそり読むと、内容はやっぱり私を呼び出すものだった。
文面的に、多分待ち受けてるのは告白か、そうでなければイジメとかタイマンとかだと思う。もちろん、後者の心当たりは全くない。
差出人の名前は他クラスの男子。去年同じクラスで顔見知りではあるが、そんなに仲が良かった記憶はない。

物事を断るのは苦手だ。
だから頼まれてしまったら嫌な仕事も引き受けちゃうし、お願いされたらどんなにそれを望んでても譲ってしまう。
幼馴染は「それがお前の悪いところで、良いところだよな」と言う。
とにかく、NOというのが昔から苦手なのだ。

「…どうしよ、気付かなかったフリして帰ろうかな…」
「何に気付かないフリして帰るんだ?」

突然独り言に反応されて、体が飛び上がって膝を机にぶつけてしまった。地味にジンと痛む。
この人はどうしてこんな変なタイミングで現れるかな…。
私はさり気なく手紙を机の中に仕舞って、何もなかったことを装って声の主を振り返った。

「夕、驚かさないでよ…」
「すまん、そんなに驚かせるとは思わなかった!」

ガハハ!と笑うこの人ーー西谷夕は私の幼馴染だ。

「今日もバレーの朝練?」
「あぁそうだ」
「お疲れ様、毎日大変だね」
「まぁな!」

私の隣の席に、大きなスポーツバッグをガタン!と置いて、大きく息をつきながら夕は椅子に座った。
私とそんなに変わらない身長なのに、そのパワーはどこから湧き出てるんだろうと不思議になるくらい、夕はパワフルな人間だ。
それを言うと、本人にめちゃくちゃ怒られるので口には出さないけど。
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