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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第24章 学園不適合者【瀬見瑛太】



「違う…そういう意味じゃねー」
「じゃあなんだ」
「なんでこんなちっぽけな高校にいる?お前なら海外にでも行けば、飛び級って制度があるじゃねーか」
「ほう…私にここから消えろ、と」
「変な取り方するなよ。お前はもっと自分に相応な環境にいるべきだって言ってんだよ」
「いや。一度考えたこともあるんだ。アメリカにいい大学もあった」
「……」
「だが、どうも食文化が肌に合わなくてね。やはり、日本の料理というものは素晴らしいな」

俺の話すトーンとは対照的な美咲の声に、少し苛立つ。

「そんな問題かよ」
「いや、食べるものを気にするのは生物の本能だ。動物でも毒だと判断したものは口にはすまい」
「ハイハイそーですか」
「そう苛立つな、瀬見瑛太。…それに、私はこの生活も案外悪くないと思っているのだよ」
「…お前は我儘だな」

俺のボソリと零した言葉は美咲の何かに障ったらしい。
少し不満げそうに眉をひそめる。

「ふん、なぜそう思う?」
「周りに合わせようとしない。自分のやりたいことをやり続ける。自分の力を発揮できる場があるはずなのに、ここから動かない。これを我儘と言わないでなんて言う?」
「…ふむ」

ぱたん、と珍しく本を閉じる美咲。
そしてこちらをニヤリと見遣った。

「……どうやら君は、自分の問題を他者に投影する癖があるらしい」

俺はムッとして、

「…どういう意味だ」

と刺々しく返す。
しかし相手は怯むことはない。
まぁ、そんなことで怯むような人間ではないとは分かっているが。

「聞いたぞ。君は実力のある選手だそうじゃないか」
「…お前に俺以外の知り合いがいるのか。意外だな」
「何、この図書室はこの学校の生徒が利用する。それに私の情報収集の手段は目だけではない」

美咲はそう言って、黒い髪をかきあげて、耳にかけた。

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