第23章 進路調査と彼岸花【木葉秋紀】
何となく、木葉のすぐ側に私も寝転がった。
遠近感を間違えたのか、腕と腕がぶつかる。
「…近えよ」
「私の隣なんだ、喜べ」
「…あーあーウレシイナァ」
「そーかそーか。ありがたく思え、もっと近づいてやる」
「は?ちょ、お前、」
何の気なしに私は半身を転がした。
けれど、寝転がった木葉と横向きになった私の身体の間隔は思った以上に近くて、
「…うわー最悪」
「人の顔見て最悪とか言うな」
「お前ごときを女として見れる俺の心の寛大さヤバイな」
「…ちょい待て色々突っ込んでもいい?」
ガバッと身体を起こして振り返り、木葉の顔を見下ろす。
「『ごとき』って何だ舐めてんのかオラ」
「お前、そういうとこだよ…」
「これでもねぇ!私モテるんだからね!」
ぐ、と木葉が言葉に詰まった。
先週私が告白された件について、木葉はよく知っている。よく知っているというか、木葉経由での告白だったわけだから一応関係者の一人なわけだけど。
どうだ、言い返せないだろう!
ふはは、私に勝とうなんざ10年、いや20年早い!
「…そういえばお前、見かけだけはいいし、猫かぶんの大の得意だもんなぁ」
「ちょっと木葉、表出ろ」
ぽん、と納得顔の木葉に、私は立ち上がってファイティングポーズを構えた。
カーン。勝負開始のゴングが鳴る。
さぁいつでも掛かって来い、この無礼者!
「お前、そのスカートの丈だと中見えてんの分かってる?」
「……」
…美咲選手は不戦勝ってことで。
私はすごすごと腰を下ろした。