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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第22章 嵐の後には凪が来る【及川徹】




手を引かれて立ち上がると、彼の背の高さを改めて実感する。

「なんか、少女漫画みたいだね?」
「ふふん、惚れた?」
「言ってることが相当クサイけどね?」
「そこはイケメンに免じて許して!」

ぺろっと舌を出す。
なんだか気が抜けて、思わずクスッと笑みをこぼすと、及川くんはふわっと目元を緩ませた。

「まぁ、さ。たまには息抜きも必要だってこと。そりゃ四六時中重いもの背負ったままじゃいつか総崩れしちゃうでしょ」
「うん、うん…そうだね」
「また溜まってきたそのときはさ、俺とデートしよ?ね?」

目の前の及川くんの笑顔が眩しく感じる。
それは蛍光灯の光じゃなく、夕陽でもなくて。

「ふふ、及川くんとデート出来ちゃうならたくさん息抜きしたくなっちゃうじゃん」

自分でも口元が緩んでくるのが分かる。
それをキュッと結ぶようにして笑って見せた。
すると、彼の澄んだ目は少し見開いて、一瞬目を逸らされた。
下唇を噛んで、何かを我慢するみたいに口元をぐっと力ませている。

初めて見る顔だな。
そう思った時にはもうすでに元に戻っていて、

「…今から行こ」
「えっ?」
「駅前に美味しいケーキ屋さんあるんだけど。甘いもの好き?」
「え?うん、好き」
「じゃ、行くよ!」

ガッと私の手を掴むと、階段を駆け下りえいくものだから、私も慌てて足を動かす。

「えっ待って、行くってどこに、」
「デート!」
「え…ええ!デート?」
「そ!」

そしてそのまま私たちは廊下を走る。
手を引かれて走っているけど、付いて行けない速さではない。多分、私が辛くない程度に合わせてくれてる。
本当に、どこまでも優しい人。

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