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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第21章 白に混ざる【夜久衛輔】




部室で、紙袋から体操着を取り出し、それに着替えた。
紙袋に入っていたのはもちろん美咲がそれに入れて返してくれたからだ。
腕を通すと、ふわっと石鹸の匂いがしてドキリとする。

(あー、なんだこれ…)

これは柔軟剤の香りなのか。
すれ違うとき、横に並んで話すとき、給水ボトルをもらうとき…
そのときに覚えてしまったあの匂い。
こんな状況で集中できっかな…と脳内がぼやついたまま体育館へ向かう。

「あっ、夜久センパーイ!」

と後輩の声とデカい気配が、後ろから近付いてきた。

「おー、リエーフ」
「こっち見なくても俺って分かるんすか?」
「分かるわアホ」

こうして毎日会ってれば嫌でも分かるだろ、普通。
横にパタパタと駆け寄ってきたリエーフは、ん?と首をかしげる。
そして、すんすん、と鼻をひくつかせた。

「夜久先輩から…いい匂いがします」
「お前は犬か」
「これ…うーんとなんだっけ…あっ!!」
「な、なんだよ」
「これ!美咲先輩の匂いっす!」
「訂正する、お前は警察犬か」

あーこの石鹸のいい匂い!絶対美咲先輩だ!とか言いながら擦り寄ってくるこのデカい警察犬を押し避ける。
ところで警察犬というとシェパードのイメージだが……いや、ないな。
こいつは圧倒的にチワワだ。
そういえばリエーフという名前はロシア語で獅子だとか聞いたことがあるが…いや、ライオンはないだろう。
チワワだ、チワワ。

「…なんか先輩、心の中で俺をバカにしてません?」
「何言ってんだよ。んなわけないだろ、でっかいチワワ」

やっぱりバカにしてるじゃないですかー!!とうるさい大型チワワ。

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