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第16章 chapter2 ⑤ トワイライト・シンドローム
「僕は、お母ちゃんの安否を確かめたくて……学級裁判で逃げてこの島から出ようなんて考えてしまったんだ。……ごめん。僕は君が言ってたような、身の危険を冒してまで他人を守れる人間にはなれなかったんだよ。それどころか……僕は狛枝くんの企みに乗じて人を……こ、殺そうとしてしまったんだ」
震える声で花村くんはそう言った。
呟くような声だったけど、今のこの静かすぎるレストランでは十分私の耳に届いてくれる。
「……ごめん、本当にごめんよ………!」
『花村くん………。』
花村くんは泣いているような声で謝り続けた。
「僕は、希灯さんの言ってくれた「狛枝くんの凶行を止めるため」って言葉に甘えて、自分の悪い考えを隠して、無かったことにしようと思ってたんだ。……でも、そのままじゃ、どうしても罪悪感が残って苦しかった。君たちを裏切ったままそれを隠し続けることに堪えられなくなったんだよ」
他の人たちに大きな隠し事をしたまま平静を装い続ける……それって結構難しいことだと思う。
何だか私と千秋ちゃんの状況と同じ感じだなぁ。
「ま、まだ、みんなには伝える勇気はないけど……せめて希灯さんには知ってもらおうって思ったんだ」
『……ありがとう。』
なるべく優しい笑みを作り、そう返す。
すると、私の言葉に驚いたように花村くんは顔を上げた。
「………え?」
『ん、ありがとうって言ったよ。』
そしたら花村くんはますます驚き―――と言うよりは混乱した様子で立ち上がった。
「な、何で? だって僕は――……」
『打ち明けてくれてありがとうってこと。……やっぱり花村くんは私の思った通りだね、ちゃんと立派な勇気があると思うよ?。だって、私なら伝えたくても、きっと責められるのが怖くていつまでも言えないでいるんじゃないかな。だから……「打ち明けてくれてありがとう」だよ。』
私は食べ終えた肉じゃがと花村くんに向けて手を合わせ、『ごちそうさま。』を言った。
「……希灯さん。僕の方こそ、ありがとう」
花村くんの小さい目が私の目と合う。
「希灯さんがあの夜狛枝くんを止めていてくれなかったら、僕は誰かを殺してしまっていたかもしれない。……君の夢の通りなら、僕はもう処刑されていたはずだよ」
悲しそうに目を伏せる花村くん。
でも、それは一瞬だけのことだった。