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第16章 chapter2 ⑤ トワイライト・シンドローム


私の目の前の席に座りながら花村くんが料理を指差して言った。
あ、そうだ。肉じゃがだ。
てっきり花村くん曰く「アーバン」な料理でも出てくるのかと思ってたから、予想外すぎて結び付かなかった。
『……いただきます。』
まず1口。
『………!?。』
「おいしい?」
何だこれ。
美味しいなんてもんじゃないくらい美味しい。
こんなに美味しかったのか……これはリアクションが売りのどこぞのグルメリポーターも本気で叫ぶだろうな。
『……美味しい。』
あぁぁ、感情だけなら超ハイテンションなのに口から出た感想これだけか……。冬子ちゃんの表現力がほしい。
「アハハ、良かった。嬉しいよ」
もはや絶望的なまでに残念な感想かと思えたのに、花村くんは本当に嬉しそうに笑った。
「実はこれ……僕の得意料理なんだ」
『へぇ、意外だね。』
和食の方が好きなのかな?。
「あと、僕の実家は定食屋で、この肉じゃがは実家のレシピなんだよ」
穏やかな口調で話す花村くん。
実家の話かぁ……。
そう言えば、以前の学級裁判でも………。
「………」
以前のことを思い出しながら肉じゃがを食べていると、花村くんの話が急に止んだことに気が付いた。
『……どうしたの?。』
「………ちょっと、君にだけは言っておこうと思ってね。聞いてくれないかな……?」
神妙な顔でそう言う花村くんを見て、何となく何の話題なのか分かった。
『……うん、いいよ。』
ゆっくり頷いてみせる。
「この前のパーティーの夜でのことなんだけど……希灯さん、君は僕が「狛枝くんの凶行を止めるために床下に居た」って皆に言ってくれたよね。あれは確かにそうなんだ。僕は狛枝くんの企みを何とかしようと思った。……でも、どうやって止めようかと考えてる内に、その企みを利用しようと思ってしまったんだよ」
聞きながら静かに相づちを打つ。
花村くんは俯いて続けた。
「僕の……僕の実家ではお母ちゃんが定食屋で1人で働いてるんだ。しかも体もあんまり強くない………。無理して頑張って働くもんだから、そのせいで倒れたこともある。……だから、僕はお母ちゃんのことが心配で心配で………」
花村くんの声のトーンはみるみる下がっていく。
俯いてて見えないけど、どんな表情でいるのかは容易にわかった。
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