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第12章 chapter2 ① 牛乳にまみれて


大型犬を洗ってる時、こんな感じかな。
「希灯サン、ありがとう。女の子に髪を扱ってもらうのは初めてだなぁ」
ニコニコ顔の狛枝くんが私にお礼を言う。
タオルで頭をわしゃわしゃゴシゴシ。
牛乳臭さの染み付いた狛枝くんは、明日の配膳係りの人に嫌がられるだろう。
そんなことを考えながら、さっきの顔の火照りはただの気のせいだろうと自分の中で完結させた。
『狛枝くんって変わってるよね。』
「やっぱりそうだよね……ボク昔からよく変人扱いされてたんだ」
『うーん、何だかなぁ。牛乳ぶっかけられても怒らないし、よく分からない理由で私のこと好きって言うし、なんか変な思想とか持ってるし……。』
どんな環境で育ったらこんなのになるんだろうか。
『ねぇ狛枝くん、昨日言ってたことって本気?。』
「昨日?」
『ほら、あの殺人予告とか希望とか絶望とかってやつ。』
以前の時の裁判中も今回の時も、混乱してたっていうか落ち着いた状況じゃなかったせいか頭によく入ってこなかった。
「うん、本気だよ。絶望は深ければ深い程それを乗り越えた時の希望は大きいんだ。だからボクは絶望を用意して皆に希望を目指してもらいたい」
『ふーん、それじゃあ希望が大きい程絶望も大きくなるよ。』
神に近づきすぎて酷い結末を迎えたっていう内容の御伽話を聞いたことある。狛枝くんも希望を見る前に絶望に呑まれるんじゃないかな。
「ボクはどんな絶望だろうとその先に希望があるなら大丈夫だよ」
『ハイリスクハイリターンな考えだね……。』
皆に希望を、か……。
そういうのを「ありがた迷惑」っていうんだけどな。
「ボクに比べたら、希灯サンのはノーリスクに近いね」
狛枝くんは目を細めて「フフフ」と笑う。
「希灯サンは誰も殺さない、誰にも殺させない、全員生き残るルートの希望。殺人が起こる前に犯人を止めて解決したいんでしょ? ボクの時と同じように」
『う、うん……。』
「でも、それでいいのかな。さっき言った"ノーリスク"っていうのは希灯サンのことじゃなくて、他の皆の事だっていうのは理解してる?」
狛枝くんの髪を拭く手がピタリと止まる。
驚く程に無意識に止まった。
「あぁ、やっぱり。希灯サンは分かりやすいなぁ」
眼下から「ハハハ」と軽い笑い声が聞こえる。
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