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第12章 chapter2 ① 牛乳にまみれて
狛枝くんは縛られた体をゴロンと転がし、仰向けになった。
「それにね、ボクなんかがこう言っちゃ失礼なんだろうけど、ボクは確信してるんだ」
『な、何を?。』
そしたら狛枝くんはニヤリと口を歪ませる。
「希灯サンがあの時"予知夢"だなんて言ったのはあの場を逃げるための嘘だったんでしょ?」
『あ、えっと………。』
「ボクには見えるんだ。キミの瞳の奥にある絶対的な希望がね」
あぁ、私、狛枝くんのこういうとこ嫌いだ。
「キミは何かとんでもないことを知っているね? だからこそ昨日のボクの計画と花村クンのことを止められたんでしょ」
『……狛枝くん。』
「今のボクにはまだキミの秘密は分からないけど、キミの考えてることが全て上手くいけばきっとキミはとても大きな希望になる。希灯サンはその可能性を秘めている気がしてならないんだ」
何を言っているの?。
………狛枝くんは何が言いたいの?。
「だからね、ボクはその希望を見てみたいんだ。ボクにキミの希望を見せてくれ!」
『……………。』
"バシャアッ"という液体が勢いよく落ちる音がした。
「え………!?」
いつの間にか私は牛乳のフタを開け、それを狛枝くんの頭にぶちまけていた。
『あ……ごめん。』
狛枝くんの髪から牛乳が滴って、床をどんどん濡らしていく。
「……いや、希灯サンは悪くないよ。それにボク、よく人から気持ち悪がられるからこれくらいどうってことないよ」
今まで一体どんな人生を歩んで来たんだろう。
頭から牛乳なんて大半の人間が経験しないまま生涯を終えちゃうよ。それを「これくらい」だなんて……。
『………タオル持ってくる。』
とりあえず拭かなければと思い、私は出口へと足を進める。
「ねぇ希灯サン」
扉を閉める時、狛枝くんが私に言った。
「ボク、キミが大好き。だってキミは………」
扉は完全に閉めた。
狛枝くんの声は途切れて聞こえない。
早足。早く歩く。何でか足は急いでた。
狛枝くんが私のこと好きって。
どうせ冗談だ。どうせからかってるんだ。
その程度なんだ。
それなのに。
『あんな変態に好かれて何が嬉しいの………!。』
少しだけ頬は熱かった。