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第36章 chapter6 ④遠いあのとき


『どうして私の部屋なんかに?。』
"私"に訊くけれど反応はなかった。
日向くんは私の部屋で何か見つけたらしい。渡したい物でもあったんだろうか。
『あっ、私のノート……!。』
日向くんにあげたはずのモノミちゃんのマスコットと、私がたまに書いていたノートがある。
『(読まれてる……気まずいな)。』
あれには色々書いてあるから出来れば見られたくない。内容が内容だからきっと混乱してしまうだろう。
そもそも苗木くんや響子ちゃんたちに向けたメッセージだし……。なにより当人に見られたことが恥ずかしい。
もどかしい気持ちになりながら記憶を見ていると、日向くんが何かに驚いてノートを取り落とした。
『……?。』
どうしたんだろう。
記憶の中の"私"も、ノートをおそるおそる拾い上げる日向くんの手元を覗き込んでいた。
開かれたままのページには、黒い塊が見える。
『あ……。』
夢での記憶を頼りに描いたイズルくんの絵だ。
ラクガキを見られた。恥ずかしすぎる。
『日向くんになんてもの見せてんの……!?。』
恨めしさも込めて"私"を睨む。
一体何のつもりで日向くんを部屋に呼び寄せ、島にあるべき私のノートを配置したのかと怒りたくなった。
"私"は相変わらずの無表情かと思いきや、その顔はうっすら笑っていた。
『………!?。』
日向くんにノートを見せたときの"私"の感情や思考が入り込んでくる。
記憶を取り除かれたとはいえ、何もかもが数年前になったわけではない。ほんの少しくらいなら違和感や気配が脳の奥底にこびりついているはずだ。
何かちょっとでも思い出すきっかけになればと、わざわざ日向くんにノートの絵を見せる流れを作ったらしい。
『うそ……アンタまさか、そうまでして……。』
"私"からイズルくんに対する強い未練を感じた。
それはもう、同じ記憶と感情の持ち主である私ですら引いてしまうくらいに激烈な執着心だった。
『そうまでして……イズルくんにもう一度会いたいの……?。』
私の問いかけに、目の前の"私"は少し微笑んでから頷く。そして私の肩に腕を回し、また抱き締めるような仕草をしたのち今度こそ霧散するように姿が見えなくなった。
『…………。』
消失したのか私と同化したのかは分からないが、あまり良い心地ではいられなかった。
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