• テキストサイズ

スー繝�ー弾ガん繝ュ繝ウパⅡDa1 Dream St0rys

第36章 chapter6 ④遠いあのとき


その存在自体が私の思い込みのような、夢でも見てるかのような気分になる現実味の薄い人なんだ。
ほんとに、本当に、イズルくんはちゃんと実在してるよね……?。
つい不安に思って手を伸ばした。
窓枠に置かれていた骨張った大きめの手の甲に、自分の手を重ねてみる。
冷たい。でも、血は通っている。
「……どうしました?」
『何でもないよ。……もうちょっとこのままでいさせて。』
イズルくんが拒否しないのをいいことに、冷たく感じなくなるまで手を置くことにした。
『(あぁ、この時間がいつまでも続けばいいのにな……)。』
口の中でもう一度そう独りごちて、静かに瞼を閉じた。




次に目を開けたとき、辺りは元の景色に戻っていた。
白くて果てしなく広い。もうあの部屋も学園も風も空も、何もかも完全に消え失せている。
『(そうだ、私さっきまで何故かあの"イズルくん"と……)。』
そう言えばさっきの現象は何だったんだろう。
よく見ている夢みたいにまるで当たり前のようにイズルくんと会っていて、現状に疑問を持つことすらできなくなっていた。
何かに思考を乗っ取られているような妙な感覚だった。
今はもう身体の自由も利くようになったし、希望ヶ峰学園の制服姿でもない。
そのことに少しだけ安心するも、さっきの体験に対しての違和感がどうしても拭いきれない。
『(私の……私の記憶は、何も取られてないんじゃないんだっけ……?)。』
不安を覚え、思わず自分の手首をギュッと握り締めた。
架空の記憶がこんな場所にあるわけない。ここはみんなの記憶の保管場所だから、実際に体験したことしか存在しない。
今まで見てきたみんなの記憶だって全部現実に起きたことのはずだ。
じゃあ、つまりイズルくんと会ったことも、言ったことも、思ったことも……全部過去の私のもので、その記憶を私が今しがた追体験したってこと?。
『…………。』
なんだか分からないけど、良くない予感がする。
何かとても大事な事実を見過ごしている気がする。
頭の中で整理しようとするも、霧がかかったように不明瞭になる。
この不安は何なんだろう。気持ち悪い。どうして私はこんな記憶を忘れさせられたんだろう。
イズルくんって一体何者なの?。
このプログラムには関係ない人なんじゃないの……?。
/ 292ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp