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第36章 chapter6 ④遠いあのとき


『イズルくんに会いたいからだよ。』
いつもの調子で言うと、イズルくんは何かを値踏みするように私をじっと見つめた。
「では何故会いたいんですか?」
『そりゃあ、まぁ……やっぱり一緒にいて楽しいし、もっと話したりとかしたいからかな。』
「……それだけですか?」
『うん、ただイズルくんと遊びたいだけだよ。』
イズルくんは何でか疑うような素振りで私の目を注視している。
いつもは目なんて合わせてくれないから、あの真っ赤な瞳で見つめられたら思わず頬が熱くなるんだ。
「…………ツマラナイ」
パッとそっぽを向くように視線を外して、イズルくんはまた溜め息を吐く。
それから、そのまま小さく呟いた。
「……ですが、悪くはないですよ」
その言葉の後に、チラッとこっちを見るとまた目を窓の外へ向けてしまう。
『ふふ……イズルくん、ありがとう。』
初めてイズルくんに褒めてもらえたような気がした。
本当に褒めてくれたのかどうかはよく分からないけど、まぁマイナスなイメージはなかったと思う。
それからしばらくは2人で窓の外を眺めた。
揺れる枝葉と、私の作った階段と、緩やかな涼しい風。
心地いい沈黙の中で、私は微睡んでいるような気分になった。
カーテンの内側にある全ての要素が、まるでサナギの中の幼虫だったものみたいに溶けて1つになってしまったように感じた。
自分と自分以外の境界が無くなったかのように思える不思議な陶酔感がある。
正気に戻ろうとすればいつでも戻れるような軽いものだったけれど、そうする気はあまり起きなかった。
『(この時間がいつまでも続けばいいのにな。もっとイズルくんと一緒に居たいなぁ)。』
爽やかな風が撫でつける窓際で、それとは不釣り合いなほど頭にぼんやりとした熱を溜め込んでいる。
私は、その原因を考えることすら出来なかった。
朦朧としながらイズルくんに目を向ける。
澄ました横顔は、狭苦しい夕焼け空を見つめているようだ。
背が高いなぁ。髪も長いなぁ。胸板が厚くて、喉仏もくっきりとしてる。
もう何度も見てるのに、全然見慣れない。
会うたびに、イズルくんってこんな感じなんだなと思う。
なんだか夢とか幻みたい。
確かに会って話したはずなのに、自分の部屋に帰り着いた頃には本当にイズルくんは居たのかって疑問に思ってしまうことがある。
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