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第36章 chapter6 ④遠いあのとき


『イズルくん、久しぶり。』
声を掛けると同時に窓が開かれた。
「お久しぶりです。また来たんですか」
『うん。出迎えてくれてありがとう……教師かと思ってちょっとビックリしちゃった。』
いつもは窓に手を伸ばしてノックしている。
カーテンだって毎日閉めきっているから、こっちから呼び掛けるまで居るかどうか分からないのが常だった。
もし教師がいるタイミングと被ってしまったら……キツい指導を受けるのはまず間違いないだろう。おそらく二度とここに来れないような処置だってされてしまう。
そんな可能性を考えて、先ほど自分を見下ろしていた人影が職員でなかったことに本気で安堵した。
『イズルくん、会いたかったよ。元気そうでよかった。』
私が言うと、イズルくんは小さく溜め息を吐いた。
「僕は特に会いたいとは思っていませんでした」
そうして窓を閉めようとする。
『わーッ!。待って待って、閉めないで。』
じゃあ何で開けたの、と思いつつ慌てて窓枠に足を突っ込んだ。
ローファーの側面にアルミサッシが軽く当たる。
寸でのところで窓が完全に閉まるのを防ぐことが出来た。
『そんなこと言わずにさぁ、またこの前みたいに話そうよ。』
「…………」
『ねっ。いいでしょ?。』
足で窓を少し押し広げながら言うと、イズルくんは目を伏せて窓枠から手を離した。
「……まぁいいです。どうせあなたとの時間なんて、ほんの束の間に過ぎないんですから」
『ありがとう、イズルくん。』
許しを得たので足でさらに窓をこじ開ける。
『ねぇ、今日はそっち入っていいよね?。』
「勝手にどうぞ」
『じゃあ、お邪魔しまーす。』
窓枠を掴んで落ちないように気を付けながら、サッシの部分に両足を乗せる。イズルくんが窓際から離れるのを確認してから、床へ飛び降りた。
『あ痛っ。……ちょっと足の裏痺れちゃった。』
しゃがんだ状態で着地して、失敗を誤魔化すようにイズルくんに笑い掛ける。
イズルくんは「静かにしろ」とばかりに口元に人差し指を当てた。
「先生方に気付かれますよ」
両足での着地はそれなりに音が出た。本来この部屋ではありえない騒音だ。
もし聞かれていて、不審に思った職員が駆け付けてきたらマズい。
『誰かがこの部屋に来そうだったら教えてね。』
やらかしたなと思いつつ立ち上がり、部屋を見回す。
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