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第34章 chapter6 ②社会科見学
冷たい。微かに木とスチールの匂いがする。
人工物の匂いと無機質な静けさのなかで我に返った。
「…………ここは?」
日向は平均的な広さの教室でただ1人立ち尽くしていた。
床一面に学生机と椅子のセットが並べられ、壁には黒板と針のない時計と監視カメラとモニターと分厚い鉄板で塞がれた窓があり、何やら学校らしからぬ奇妙な模様の壁紙で彩られている。
日向は困惑していた。
ここに来るまでの過程に。目の前に見える景色に。
何でここに? 俺はさっきまで………さっきまでどこにいた?
確か目の前に扉があって……いや、それより前に遺跡の中に入って環状の証言台に皆で立って……?
どうして自分はここにいるのか、どうやってここに辿り着いたのか。その記憶がすっぽり抜け落ちてしまったように何も思い出せなかった。
「あの時と同じだ……」
ジャバウォック島での初日、皆で教室に集められた時のことを思い返す。
あの日もどういうわけかいつの間にか教室に辿り着いたんだ。
不可解なことが起こっているのは確かだけれど、どうにも記憶がまとまらない。
朦朧とする頭で考えていると、室内のスピーカーからチャイムが鳴る。
〈キーン、コーン……カーン、コーン〉
よく聞き慣れた音だった。確かここ最近朝と夜に毎度耳にしていたはずだ。
それを思い出すと同時に天井近くに掛けられたモニターへ目を向けた。あの音の後には決まっていつもアイツの姿が映る。
〈あー、あー……! マイクテスッ、マイクテスッ! 校内放送、校内放送……! 大丈夫? 聞こえてるよね?〉
モニターには日向の予想通りモノクマがいた。でもどうやらいつものような時報ではなさそうだ。
〈えーっ、ではでは……オマエラ、希望ヶ峰学園にようこそ! これから"卒業試験"についての説明を行いますので……至急、体育館までお集まりくださ~い〉
それだけ告げるとモニターは暗転してしまった。
「……は?」
希望ヶ峰学園って……言ったのか? それに卒業試験って?
モノクマの言葉に耳を疑う。だが確かにモノクマはそう言っていたのだ。
「とりあえず体育館まで行くか……」
オマエラ、お集まりください……モノクマはこうも言っていた。この場にいるのは自分1人だけじゃないと察し、日向は足早に教室の外へ出る。