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第33章 chapter6 ①遺跡の中へ
〈……ボクの計画が終わるまでは隠す必要があったけど、そろそろ発表してもいい頃だよね? じゃあ……そのパスワードを発表しまーす〉
今回こそ遺跡へ入るためのパスワードが聞ける。
聞き逃さないように音量を上げ、画面に顔を近付けた。
〈11037。それがネズミー城に書いてあったパスワードだよ〉
――11037。見覚えのある数字なような。
記憶を探ると、生まれて初めて見た死体が脳裏にうっすらと浮かんだ。イヤな情景が無意識に血の匂いを再現する。
鮮明に思い出さないよう首を横に振り、動画の続きに意識を向けた。
〈ボクは信じてるよ。ボクの行動が世界の希望の礎になるってね。そして……もし本当にそうなったなら、ボクを讃えてくれ。ボクの偉業を伝えてくれ。ボクの銅像を作ってくれ。ボクを敬ってくれ〉
締める話運びになっている。映像はもうすぐ終わりそうだ。
〈ボクを……超高校級の希望と呼んでくれ〉
それを耳にした途端、私はノートパソコンを勢いよく閉じて立ち上がってしまった。
『………………。』
耳によく馴染む名称が聞こえた。
「え、えっと……誉稀ちゃん?」
「はは……さすがに聞いてられないよな」
「そうだな。パスワード以外は訳が分からないことばかりだ」
私の反応に驚いた数人が様子を窺いながらそう言う。
『……ごめん、パニクっちゃった。もう1回観るね。』
我に返ってすぐに座り直し、パソコンを開く。再生時間を閉じる少し前に戻した。
〈…………〉
雑音が言葉に被っている。さっきより聴こえづらい。
〈…………〉
〈…………〉
何度も聴き直したけど、もう「超高校級の希望」と聴こえてくることはなかった。
「満足したか?」
『うん……もういいや。見せてくれてありがとう。』
何で一番最初だけあんなにはっきりと聞こえたんだろう。気分の悪い記憶のせいで神経が過敏になってたから?。それともただの聞き間違い?。
どっちにしたって…………不愉快だ。
「パスワードも分かってるんだしさー、早く遺跡に行こうよぉ!」
「よーし、思い立ったが何とかだな。走るぞオッサン」
「応ッ! 中央の島のカウントダウンが残り少ないのも気になるしのぅ、急ぐに尽きるぜよ!」
遺跡に向かうため各々ホテルから出ていく。
みんなを追って歩きながら少し逡巡した後、私は引き返して旧館へと足を向けた。