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第29章 chapter5 ②ネズミー城


『え……ちょっと待って。えっ……何す………。』
「こんなことっ、したくなかったけど……キミがボクの邪魔をっするならっ! ………ええいッ!!」
大分重そうな物を持つような息切れの仕方で、狛枝くんは橋の上から私を勢いよく投げた。
『や……やだああああぁぁぁぁッッ!!!。』
空中で手をぶんぶん振りながら叫ぶ。
ほんの一瞬のスローモーションを嫌程味わう最中、ダッシュで城の扉に向かう狛枝くんを視認した。
『………わぶっ!!。』
海水に投げ入れられた私は、狛枝くんのことよりもまず先に「自分が泳げたかどうか」という問題が頭を過った。
泳げることは泳げる。でもそれはプールとかの足がすぐ地に着けられる場所に限られた話だ。
ここは海で、もちろん深くて波もある。
しかも体を支えられそうな物は全然見当たらない。
『…………っ!。』
波に揉まれながら手足を動かすけど、如何せん着衣のせいで動きにくい。
海水が口の中に入ってくる。
一応泳いでいるつもりだけど、進んでいるのか波に押されているのかよく分からなかった。
段々息継ぎが辛くなってくる。
手足も動きがかなり鈍ってきた。
どうしよう。このままじゃ溺れて死んじゃう。
えーっと、えーっと……そうだ、アレだ。特権を使おう。
『りゅ……流木が、流れ……て、くる…………!。』
この程度の願望なら間違いなく叶うだろう、と色々妥協して流木を求めた。
今のでまた口の中に結構水が入ってきたし本当にしんどい。
辛うじて続いている息継ぎの合間に、波に乗ってこっちに流れてくる物が目に入った。
順調に近付いて来ているようで、もう手を伸ばせば届きそうだ。
あぁ、良かった。これで少しは楽になる。
そう思って喜んだのも束の間。掴んだ物は確かに流木だったけど、想像よりも遥かに細くて小ぢんまりとした貧相なものだった。
期待を裏切られ絶句するも、すぐにそのショックを上回るような怒りが沸いてきた。
『……もっと大きいヤツ!!。丸太!!!。』
枝程度でしかない流木をへし折りながら怒鳴る。
何でだよ!。コントじゃないんだぞ!!。
こっちは命かかってんだからフザケンナ!。
ぶつけようのない怒りを拳に込めて海面を叩くが、バシャンと音を立てて飛沫が跳ねるだけだった。
泳げない自分にも細い枝にも腹が立つ。
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