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第27章 chapter4 ④ 君のサイノウ


でも日向くんの手の甲がテーブルに当たる直前で、一気に逆向きの力がかかった。
『……あ、日向くんの勝ちだね。』
見事な形勢逆転の後、あっさりと私の手の甲はテーブルについてしまった。
「……で、これは何だったんだ?」
『おめでとう、これで日向くんは超高校級の腕相撲チャンピオンだよ。』
繋いだままの手を振り上げる。
優勝者の腕を振り上げてあげるレフェリーさながらに、天井に向けて突き上げた。
「………はは、腕相撲の才能か」
嬉しそうな、だけど納得いかないような複雑な顔で力なく笑った。
『日向くん。才能ってね、きっとこんなもんなんだよ。』
手を離して、日向くんの手を指差す。
『例えば、今みたいに私は日向くんには力じゃ到底勝てないでしょ。それはつまり私より君の方が優れてるっていう何よりもの証明なんだ。』
次に日向くんにあげたモノミちゃんのマスコットを指差した。
『で、君は私にはクラフトワークにおいては敵わないの。それはもう、経験と技術の差で窮めて明確なことだよね?。』
「……それはそうだな」
まだ私の言いたいことの意図は掴めてないみたいだけど、日向くんは分からないなりにも相槌を打ってくれた。
『仮に、この島のみんなで色んなことで競い合ったとしようか。体力とか学力とか教養とか……とにかく色んな分野でさ。それで結果が出ても、君が最下位になってる場合なんてほんの一握りなんじゃないかな?。』
考え込むように、日向くんは目を伏せる。
私はそれを見ながら話を続けた。
『体力じゃ終里さんとか弐大くんとか辺古山さんには勝てないかもしれない。学力じゃ十神くんやソニアさんには勝てないかもしれない。だけど、それでもきっと何かの分野で日向くんは1位を取れてるんだと思うよ。ある分野では自分より世間からの評価の高い、才能を持ったみんなを凌駕することも絶対可能なんだ。』
「……本当に、そう思うか?」
半信半疑な感じで恐る恐る訊いてきた。
『うん。「才能がある」ってことを逆に言うとね、「寧ろそれしか出来ない」ってことになると思うんだ。』
「どういう意味なんだ?」
『えーっと……私の知り合いにね、野球がとっても上手な人がいたんだ。ほぼプロ顔負けの才能を持った人。』
かつての仲間を思い出す。
記憶に甦るのは、好きな女の子を振り向かせようと必死に、自分の将来について語っていた時のあの人の姿だった。
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