第25章 【BL】【R18】6/21 日向翔陽HB 〜orange①〜
::::: 影山 :::::
日向の手は寝起きのせいか温かい。
あんな隙だらけな顔したアイツをフラフラさせとくと、誰にちょっかい出されるかわかんねーし、俺は手を引っ張って大学を後にした。
校門を出て、最寄りの駅までの道のりをそのまま手を繋いで歩く。
高校一年の時は、まさか自分が東京に住むことになるなんて思いもしなかったし、まさかこいつと一緒に同じ大学に通って、同じチームでバレーを続ける未来が待っていようとは、考えてもみなかった。
俺に手を引っ張られて斜め後ろを歩く日向に目をやると、あいかわらずアホみたいにふわふわした笑顔を浮かべてるから、なんか俺が一人で心配している事がバカバカしくて腹立たしい。
コイツ、俺と付き合ってるって自覚あんのか!?
日「ねぇ影山!コンビニ寄って!俺ジャンプ立ち読みしたい!!」
影「この前読んでたのは?」
日「あれは前の週!!!」
オレンジの髪がまるで夕焼けのように眩しい。
俺と日向がこんな関係になったのは、高校3年になってからだ。
菅原さん達に、田中さん達、入部した当時の先輩が年を重ねるごとに卒業していって、その後ももちろん新しい部員が増えていったけど、やっぱりあの最初の一年は特別で、先輩たちがいなくなる事は俺の中でも他の一年の中でも大きかったんだと思う。
3年になってからは、俺と日向と月島と山口で一緒に帰ったり、帰りにファミレス寄ったり、ラーメン食ったり、コンビニ寄ったりする事も多くなった。別に仲が凄くいいってわけでもないけど、なんとなく俺たち4人は一緒にいる事で、あの時の懐かしさを思い出せるような気がしていたのかもしれない。
月「王様、日向の事どうするつもりなの?」
帰りがけのコンビニの軒先で、日向と山口の買い物が終わるのを待っていると、缶コーヒーを飲む月島が、横目でこっちを見てそう言った。