第22章 【R18】黒尾鉄朗 〜fault〜
クロは私の足元で自分のYシャツのボタンとベルトを外すと、スルスルと制服を脱いで行き、その鍛え上げられた身体で私の眼の前に佇んだ。
広い肩幅は纏った筋肉のせいで余計たくましく、引き締まったその身体に私は何時も見惚れてしまう。そしてその身体には、痣のようなキスマークの跡が無数についている。
彼に言われて私が付けたものだ。
そして、私の身体にも同様に、彼が付けた痣が無数にある。
制服やユニフォームを着た時には見えない位置に意図的に付けられたそれを、クロは「俺たちだけの秘密」だとか「俺のものだって印」という様に、いま私の手首についている擦り傷と一緒で二人の「繋がり」として彼は重要視していた。
「綾瀬。俺のここにあったキスマーク薄くなってんだけど。」
彼は自分の鎖骨の下にある痣を指差した。
その痣は確かに薄れてきて、うっすらと赤らんでいるだけだった。
『ホントだ。治ってきてるね。』
「治ってきてる?これは怪我じゃねぇだろ。俺とお前の絆が消えてきてるんだよ。意味わかってんのか!?」
『えっ、、あの、、ごめん、、、、』
「ごめんじゃねぇだろ?綾瀬は俺が自分のものじゃなくなってもいいのかよ?」
『ちょっと!!!な、なんでそうなるの!!?』
パシンッ!!!!
彼の平手が空を切った瞬間乾いた音がして、痛みよりもなによりも、驚きで呆然としてしまった。
「お前なんでわかんねーの?俺の事好きなんじゃないの?」
『、、、、、ごめん、、、もう一回、私の印、つけてもいい?』
叩かれた頬がジワリと熱くなって、遅れて痛みを感じた。
私がそう言うと、クロは両手首を縛っていたネクタイを解いて、私を抱き寄せた。唇を重ねてくるクロは、さっき私の頬を叩いた人と同一人物とは思えないくらい、優しく愛おしそうな視線で私を見て、キスを何度も贈ってくれる。
「綾瀬、、、、俺はずっと、お前のモノでいたいんだよ。」
こんな風にしなくても、私はクロが好きなのに、、、
そんなセリフは今まで何度も頭に浮かんでは消えた。
クロの行動の全てが、
「愛してる」と同意義なのだ。