第5章 WC予選
火神の言葉が頭と心にしんみりと来るが高尾は口角を上げてニヤつく。そして首の後ろをかいた。
「…火神、受け入れるとかないっしょ。そしたらずっと夏美ちゃんはお前の事弟としか思わないぜ。バスケ以外じゃ結構弱気なんだな。」
高尾の挑発に火神は声を荒げる。
「何だと!お前に何がわかるってんだよ!?」
声を荒げる火神とは対照的に、高尾は普段とは違う低い声で言い聞かせた。
最後は人差し指を立てて威勢良く火神に宣言する。
「俺は絶対に辰也さんを超えてやる。受け入れるとか生温いこと言ってるお前なんかには負けねーよ!」
火神に有りっ丈をぶつけると高尾は再び走り出しこの場を去った。
高尾の背中を見て火神は心の中で語りかける。
(しっかし高尾が夏美にあそこまで惚れてるとは思わなかったぜ。でも高尾、辰也のことを簡単に越えられたら苦労はねーよ…。)
しばらくして高尾の姿が見えなくなると火神は頭を抱えながら歩き出した。
(振られた上にライバルにこてんぱんに言われて俺、マジかっこ悪りぃー。けど、日本に帰ってきてからのモヤモヤは取れたしそれだけでも良しとするか。こんなとこでへこたれてねーで、誠凛の皆や俺そしてあいつの為にもWCに出場するんだ!!)
素早く切り替えて次の試合に臨みながら帰宅する火神。それは彼が深く考える事が苦手な故であろうがここはプラスに働いてくれて良かったところである。
だけど、そんなに人の気持ちはすぐに変わる筈はない。あることをキッカケにまた動き出すだろう。
ーーーそして後日誠凛は霧崎第1に辛くも勝利し、秀徳も泉真館に勝利して2校ともWC出場が決定した。
その日の帰りに辰也からメールが来て夏美は早速返信する。
ー夏美。調子はどうかな?こっちはWC出場が決定したよ。ー
ーお兄ちゃん、お疲れ様&おめでとう!東京は秀徳と誠凛に決まったよ^ ^ 会場でお兄ちゃんと会える事になってちょー嬉しい♥︎♥︎ー
ーはは、全く本当に可愛いやつだな。そっちこそ出場おめでとう。どの試合もベストを尽くすさ。じゃあまたWCでな!ー
ー絶対暇ができたらお兄ちゃんの試合見に行くね!じゃあね〜(^o^)/ー
そして月日は流れWCが開催される。