第5章 WC予選
高尾の言葉を聞いて一瞬火神は頭が真っ白になるものの、なんとか突っ込めるところを見つけてすかさず意地悪な顔をして尋ねる。
「つーことはまだデートしただけだろ?そっから進んでんの?」
(うわー、火神のくせにイヤなとこ突いてきやがった!)
高尾は内心ぎくっとしながらも平静を装って正直に答える。
「ま、残念だけどそうだな。夏美ちゃんが秀徳に来てから色んな奴に狙われてるからさ、デートに誘うだけでも正直大変だったぜ。」
(勢いで告白して振られたのは秘密だけどな。)
「え、そうなの!?あいつ、そんなにいっちょまえにモテ始めたのか!?」
火神の言葉を聞いて高尾は不思議に思い興味津々に尋ねる。
「夏美ちゃん、アメリカでもモテモテじゃなかったの!?」
「俺が最後に会ったのは中1の時までだから、そこまでしか知らねーけど、あいつ今よりも髪短くて身長もなくて、…つるぺただったし。」
高尾は昔の夏美を知っている火神の言葉に嫉妬を浮かべながらも、何気でディスってるのですかさず怒りを表す。
「つるぺた関係ねーだろ!!あんなに可愛くて明るくて優しいのにか?」
「性格は基本変わらないぜ。だけど小学生の時、日本人ってせいで学校でちょっと虐められてたらしいから基本辰也と俺にべったりだったんだよ。」
火神の言葉に高尾は驚きを隠せなくて、目を限界まで開く。
「うはー、人種差別ってヤツ?えげつねーな。」
「まあ俺もされたしな。けど辰也がバスケに誘ってくれたおかげで友達増えたしそんなこと気にならなくなった。夏美も辰也がいたからアメリカでやってこれたんだと思う。」
そして火神は高尾に真剣な眼差しを向ける。
「もし、夏美と付き合いたいなら辰也を超えるか、受け入れるしかねーんだよ。」