第5章 WC予選
私達はしばらく昔話や離れている間の話などしながら歩いていた。あの頃の懐かしさとあったかさを感じて私も大我も思わず笑みが零れ落ちる。
実は女の子と話すより大我と話す方がなにぶんと落ち着く。
そうしてるうちに2人ともぐぅっと鳴ってお腹を抑えると、ちょうど隣にマジバーガーがあった。
「しっかし腹減ったわー。お、ちょうどマジバーガーあるし、ここでいいか?」
「うん!大我、好きだもんね!いつもみたいにハンバーガーでピラミッド作るんでしょ?」
大我は子供の様に無邪気に笑って「おうよ!」と返事をし、店に入りまず席を取ってレジに並ぶ。
予想通りピラミッドを作れるほどハンバーガーをたくさん注文していた。
「夏美、それだけでいいのか?」
私はバニラシェイクとホットチョコパイだけ頼んだのを見て大我はちょっと驚いてる。
「うん!家のご飯も食べたいからさ!」
「そっか。じゃ会計一緒で!」
大我は私の言い分を聞かずにさらっと会計を私の分まで済ませた。
「ちょっと、無理しなくてよかったのに。後で払うね。」
遠慮がちに言っても大我は引き下がらず、さっさと席についてしまった。
「いいって、これぐらい。気にすんなよ。」
相変わらずの大我の不器用な優しさは甘酸っぱくて、また微笑ましくなる。席について私はナンパから助けてくれた時のようにはにかんでお礼を言うと、大我はまた赤面した。
お互いに手を合わせていただきますを言うと、大我が物凄いスピードでハンバーガーを食べて、一息ついたところで話を振ってきた。
「で、話ってなんだ?」
「うん、次は霧崎第一でしょ?もう知ってるかもだけど、ラフプレーが多いから気をつけてね。」
私が神妙な面持ちで言うと大我はテーブルに肘をついて手を頬に当てて溜息をついた。
「なんだ、そういうことかよ。お前も試合見てて思わなかったか?俺達はそんなヤワじゃなーよ。人の事心配し過ぎ。」
なんだか余裕ぶってるように見えた私は少し声が荒くなってしまう。
「だって一軍がわざわざ誠凛の試合見て研究してたのよ!しかも無冠の五将の花宮真がいる。何かしてこないはずがないじゃない。」