第5章 WC予選
ーSide 夏美ー
私は救急箱と荷物を持って、2人にじゃあねと告げて急いである人の元へ向かう。
そう、大我に。
何でわざわざ会うことにしたのかというと、大我のメールの返信がとても遅いし、お互い休みも合わないし、何より中1振りだから直接会って話したかったんだ。
最後に会った時より背が随分と伸びて、逞しくなったもんだから、そろそろガールフレンドもできたんじゃないかと思ったんだけど、ハグしただけで赤面してたから多分いないな〜。
それにさっきの試合で肉体的だけでなく精神的にも成長してるのを感じた。惚れ惚れするくらいに。負けず嫌いは相変わらずだったけど!きっと日本に帰ってから大我にも色んなドラマがあったんだろうな。
私は待ち合わせの体育館の中央部の広場で1人立って待っていると、男3人組にジロジロと見られてる気がして嫌な気分になる。
そして彼等がニヤニヤと笑いながら近づいて来た。
「君、噂の秀徳のマネっしょ?近くで見ると、ちょー可愛いねぇ〜。今1人?」
私はしかめっ面をして精一杯睨む。けど、彼等は相変わらず私の顔と身体をジロジロと見続ける。
「私これから約束あるんでお引き取り下さい!」
ナンパされた事は何回かある。
けど普通は強くはっきりと言えば引き下がるのに、今回のは全く引き下がる素振りがない。
「威勢いいねぇ。けど俺らと遊んだ方がもっと楽しいぜ。」
私の正面にいる男がそう言うといきなり腕を掴んで来たので必死に抵抗する。
「いや!!離して!!」
「そう言われると逆に燃えるんだよね。お前が1人でいるのがいけないんだよ。」
近くにあった柱に私を寄せて逃げられないようにぐいっと迫られる。恐怖の余り、悔しいけど涙が目に溜まる。
お願い、大我!早く来て!!
その時やっと待ち望んだ人が現れる。
「おい、てめーら何やってんだよ。俺のツレなんだけど。」