第5章 WC予選
うわー、マジキツいわ。しかもこのタイミングで。夏美ちゃんは大事な弟分とは言ってたし兄貴さんが1番だと知ってるけど、何もないとは限らないだろ?
俺は悶々としながらも2人の後を追う事ができない。いやしたくないし、したらストーカーの一歩手前だからその場で結局立ち尽くして握りこぶしに力を込める。
だけど嫉妬に狂いそうで、いてもたってもいられないくらいだ。本当は夏美ちゃんの腕を掴んで火神から奪い去りたい。
俺、こんなに嫉妬深かったっけ?夏美ちゃんと出会ってから彼女の事が気が気でない。真理子と付き合ってた時とは全然違ってて正直戸惑うわ。
真理子が他の男と話してたり、あいつに他の予定があったりした時もここまで気にした事なんかなかった。
それはきっと真理子が俺を好きでいてくれる自信があったからだ。あいつといると本当に楽だったし、存分に甘えさせてくれた。それ故に俺は真理子を傷付けちまった…。
反対に夏美ちゃんは手が届きそうでなかなか届かない。この手が届きそうってのがミソだ。最初から届かないなら簡単に諦められる。
けど届きそうって思うとつい期待して諦めきれなくなっちって、結局振り回されちまう。意外と小悪魔なんだなー、夏美ちゃん。
さてと、どうすっかなー?
黙々と1人で考え込んでいると、真ちゃんが追いかけてこない俺を不思議に思ったのか戻ってきてくれた。
「何もたもたしてるのだよ。早く帰るぞ。」
呆れてる真ちゃんだけど、俺は正直来てくれて助かったと思った。こっそりと感謝しながらいつものお調子者顔で、手を合わせて真ちゃんに平謝りする。真ちゃんは鼻で笑ったけどな。
そうして俺は両手を首の後ろでクロスさせ真ちゃんと帰路に着く。
悔しいけど火神に会って嬉しかったんだろうな。兄貴さんに宣言したし、まだまだ頑張りますか、バスケも夏美ちゃんも!