第5章 WC予選
俺達は特に話す事はないからしばらく黙ってたけど、俺は静かにしてるのが苦手だから我慢できずに喋り出す。
「なー、夏美ちゃん、一体誰と会うんだろうなー?しかも試合中元気なかったし。」
真ちゃんはまた氷室の事かときっと呆れてると思う。だってため息ついてるし。真ちゃんは眼鏡を押し上げてため息をつく。
「いつからお前氷室の親になったのだよ。昔の級友か女バスの誰かとじゃないのか?」
親って何だよと思いながら俺は口をアヒルみたいに尖らせて、返事する。
「だといいけどな。だってちょーちょーモテるし可愛いからつい気になって仕方ねーんだよ。」
「全く、見苦しいぞ。そんなんではこれから先も思いやられるのだよ。」
真ちゃんから励ましなのか叱ってるのかわからない口振りで恋バナ関連の事を言われると、可笑しくてたまらないからつい腹を抱えて吹き出す。
「ブフォッ!真ちゃん、まるで恋愛のスペシャリストな言いっぷりだな!実は結構経験アリなん!?」
つい茶化してしまった俺に真ちゃんは怒りを露わにする。
「黙れ、高尾!これでは俺が恥ずかしいのだよ!慣れない事などするものじゃないな。」
「わりぃわりい!悪かったって!だから置いてくなよ!」
そっぽを向いて早足で行こうとする真ちゃんを追っかけようとしたところ、聞き覚えのある声が聞こえてきて、一時停止する。
「しっかし腹減ったわー。お、ちょうどマジバーガーあるし、ここでいいか?」
「うん!大我、好きだもんね!いつもみたいにハンバーガーでピラミッド作るんでしょ?」
振り向くと火神と夏美ちゃんが仲睦まじい様子でマジバーガーに入って行った。
しかも極めつけにお揃いのリングのネックレスが主張するように光って見えて、まるでカップルみたいだから俺は更に動揺し、その場で立ち尽くした。