第5章 WC予選
黒子君がスティールしてバウンドしていたボールを真ちゃんが拾って長距離3Pシュートを放とうとした時、大我がブロックしてアウトオブバウンズになる。
大我…!いつの間にあんなにジャンプを高く跳べる様になったの!?
そして真ちゃんがシュート体勢に入っては大我がジャンプしてブロックを繰り返す。
このお互い譲らない状況に私は開きっぱなしだった口を一旦閉じる。秀徳を応援しなければならないのに口元が緩んで口角を上げる。
こんなに見ててワクワクするゲームは久しぶりだわ…!
面白くてつい魅入っちゃう。どっちが勝つのかしら?
正直黒子君の事見くびっていたけど彼に謝らなきゃね。
それに大我も本当に成長した…。ついこないだまでお兄ちゃんに全然敵わなかったのに。でもまだまだこんなもんじゃないでしょ、大我?あなたの成長ぶり、沢山見せてもらうよ!!
…やっぱり私、ウィンターカップに誠凛も出場してほしい。そしてお兄ちゃんが首を長くして待ってるわ、きっと。陽泉にはお兄ちゃんとキセキの世代の紫原君がいる。予選敗退なんてありえない。
試合に魅入っていたはずなのにいつの間にぼーっとしていたのか、またお兄ちゃんの事を考えてしまった私は首を横に振って気を取り直す。
先輩達に具合が悪いのかと心配されたが、大丈夫であることを伝える。それにより、私はさらに申し訳なく思った。
第1クオーターや第2クオーターの後半までは大我が真ちゃんのブロックを繰り返す状況が続く中、真ちゃんがシュート体勢に入り、誠凛のセンターで無冠の五将と称され鉄心と呼ばれた木吉さんがブロックしようとしたところで高尾君にパスを出した。
パスを出された高尾君は心底興奮というか嬉々としていてとても印象的だった。真ちゃんが一人で戦うのをやめた事が余程嬉しかったのだろう。
一人でも強い真ちゃんがチームプレイをすると、誠凛側にとって非常に強敵になることは容易に想像がつく。