第2章 二度ある事は三度ある
日本人とは思えない発音の良さに高尾は驚愕して目を見開き、夏美に尋ねた。
「もしかして、帰国子女?!」
「Exactly! Are you surprised?(そうよ!驚いた?)」
ここで帰国子女であるがため、タメの意味を聞いてきたことを理解した。
「オーマイガッー!アイムベリーベリーソーリー!悪かったから英語やめてー!」
2人とも自分たちのやり取りが可笑しくて思わず同時に吹き出し、ついに腹を抱えて笑い出す。
「「ぷっ。…んふふ(へへ)、はは、アハハ。アハハハハ!」」
(こんなに心の底から笑ったの、いつ振りかな)
(夏美ちゃん、見た目大人しそうなのに表情コロコロ変わっておもしれーな!)
夏望は怪我の痛みを忘れて、高尾は夏美への興味が湧いていくのを感じながら声が枯れるまで笑い続けた。
「いたたた!」
ふと夏美は怪我の痛みが復活したため、跪いた。
「大丈夫?!保健室まで送ってく!よっこらせっと。」
心配した高尾はまた夏美を抱えた。
(え、また?!そこまでしなくていいのに〜!!)
夏美はまた恥じらい、頬を赤く染め高尾を覗きこむ。そんな彼女を見て高尾は爽やかな笑みを浮かべて彼女を安心させるよう務めた。
「いや本当にこれぐらい大丈夫だよ、高尾君!むしろ重いでしょ?」
「氷室さん軽いし、俺部活で鍛えてるから大丈夫!」
(ま、君だからってのもあるんだけどね!てか、恥ずかしがっちゃってマジ可愛いー!)
高尾に根負けして結局運んでもらうことになったが、周りにいた生徒に痛い視線を浴びせられた。
「じゃあ、走ってくから、しっかり捕まってろよ!!」
「きゃっ!」
高尾が走り出したので夏望は思わず高尾の首に手を回す。
(さすがに恥ずかしいわー。何か高尾君って強引なんだか、優しいんだかよくわかんないよー)
抱えられていると何故か夏美は大好きな兄の事を思い出し、同時に兄とは違う心地良さを何故か感じた。
(でも悪い人じゃない気がする……)