第5章 WC予選
高尾の話を聞き、夏美は実際にはさっき会っているが影の薄さのせいでまだ見ぬ人となっている黒子に興味を持つ。
また、成長した火神を誇りに思い、思わず笑みがこぼれて丸めた手を口元に添える。
「あの真ちゃんを変えるなんてね…。黒子君って子もすごいんだろうけど、大我もね!成長したんだろうなー。さっすが、私の弟分!」
鼻高々と言い切った夏美に高尾は彼女の発言を可笑しく思い、ぷっと吹き出して腹を抱えて大笑いした。
「…ぶ!ははは!はは!ひー!か、火神が、お、弟って!む、無理あるだろ、あんなデカイ弟!」
笑いが止まらない高尾に夏美は立腹して、顔が赤くなり、口調が荒くなる。
「ちょっと、そんな笑えるところ!?だってあたしの方が誕生日早いし!」
「そ、そんだけ?」
夏美は少しの間、口を尖らせて考え込む。
「…あと、あたしの方が一枚上手だし?」
絞って出した返事に高尾はまた吹き出して体がプルプル震えている。
「そ、それ自分で言っちゃう?全然見えねーし、しかも疑問形だし!」
「もう、高尾君!ちょっと黙ってよ!!」
もはやこそこそと話ができなくなっているが、そんな事より夏美はからかい続けてくる高尾に一括をするが全く効果がない。
「おい、おめえら!さっきから黙って聞いてればいちゃついてんじゃねぇよ!轢くぞ!」
そこで痺れを切らした宮地が2人を一括して収めようとし、そこに緑間も加わる。
「全く、宮地さんの言う通りなのだよ。大事な試合前だというのに緊張感なさ過ぎだぞ。」
さすがに夏美と高尾は反省し、しょんぼりとした顔をして、同じタイミングで深々と頭を下げて謝った。