第5章 WC予選
微笑む夏美を見て火神はまたドキッとして、赤面し頭をポリポリとかく。
「そ、そーか?そういうお前こそ、変わんねーよ。表情がコロコロ変わるとこ。」
(こういう時、辰也なら綺麗になったねとかキザに褒めるんだろうけど、俺には到底できそうにねー。)
自分の不器用さに少し呆れる火神であるが、夏美は特に気にしていない。アメリカ育ちなのにまるで女性の扱いに慣れていない彼を理解し、受け止めているからだ。
それ故にいじりやすくてたまらないし、昔に戻れたみたいで夏美はとても心地が良かった。
「本当?ありがと!って、もうミーティングの時間!お互い頑張ろうね!」
腕時計を見た夏美は焦って秀徳の控え室に戻ろうと2人に背を向け、手を振る。
「…火神君。あの人は誰なんですか?」
夏美が去った後黒子は火神に尋ねる。火神自身も黒子の影の薄さのせいで今迄完璧に忘れていたことに驚く。
「うお!黒子、マジごめん!すっかり忘れてた!あいつは氷室夏美っていうんだ。」
「氷室ってもしかして氷室さんの妹さんですか?」
黒子は苗字を聞いて、わかりずらいけど驚いた様な表情をして火神に尋ねる。
「ああ。よくわかったなって顔がそっくりだもんな。」
「はい。それよりなんかいい雰囲気でしたけど、火神君の彼女ですか?」
淡々と尋ねる黒子であるが、彼女という言葉に火神はぶっと吹き出しそうになる。
「ち、ちげーよ!!あいつはただのロス時代からのダチだ!勘違いすんなよ!」
「の割りには顔赤くなってませんか?」
「うっせ!…それにあいつは昔から辰也しか頭にねーよ。」
(やっぱ俺が付け入る隙はねーんだろうな。けど、あんなに可愛くなりやがって…。)
黒子は火神の発言に少し眉毛を上げて疑問に思うものの、これ以上首を突っ込んではならないと察知したのでこのまま黙り、2人は誠凛の控え室へ戻った。