第5章 WC予選
午前の試合が終わり、昼休憩に入って両チーム共に控え室へ戻る。共に一勝同士。どちらも勝てばWC出場に大きく近づき、負ければ遠ざかる。
夏美は昼食を済ませ、気分転換に控え室を出ると彼女の前に誠凛の光と影、火神と黒子のコンビがいた。
(あれ、大我じゃない!よーし、久しぶりに挨拶ついでにからかってやりますか!)
夏美は火神に向かって小走りして、英語で呼び止める。
「Hi!Taiga!Long time no see!You seem to be fine!(大我!久しぶり!元気そうじゃない!)」
火神と黒子は夏美の流暢な英語に驚き、後ろを振り向く。
(な、なんだ誰だこいつは!?って、もしかして…!?)
火神は久しぶりに見る夏美に一瞬気がつかなかったが、彼女とわかると口をあんぐりと開く。
夏美と最後に会ったのは中1ぐらいで、その時は今より身長が低く子供っぽさが満載であった。火神は美しく女らしく成長した夏美に目を見張り、しばらく見惚れた。
何も言わない火神に黒子は脇腹をちょんとつつき、やっと反応する。
「…あんた、もしかして夏美か!?」
「大我ー!!会いたかったよー!!」
そして夏美は目を輝かせ顔が綻び、火神に抱き付く。初心な火神は当然の如く赤面する。そしてある感触が彼を襲ってきて顔が林檎の様に赤くなる。
(こいつ…!反則なぐらい可愛くなったってのに、抱きつくとかないぞ!しかも胸当たってるし!)
立ち尽くしている火神に夏美は覗き込み意地悪な微笑みを浮かべる。
「あれー?どうしたの?ドキドキしちゃった?」
火神は上目遣いで見つめる夏美に思わずドキッとするが悟られまいと必死になる。
「んなわけねーだろ!!それにここは日本だ!マジで目立つからやめろ!」
必死で否定する火神に夏美は全く動じず、むしろ昔が懐かしくなって、柔和な表情になる。
「ふふ。こんなに大きくなったのに昔から変わらないね、大我。なんだか安心しちゃった。」