第5章 WC予選
「おいおい、そこは感謝しとけって!それにピリピリしてたけど、夏美ちゃん見てたら皆癒されてむしろリラックスしたぜ!こっちこそありがとな。」
高尾の気遣いや優しさに夏美は思わずドキッと心が締め付けられる。
「…うん、ありがと!」
お互い笑いあったところで収集がつかなくなりそうなところを緑間が割って入り、高尾の頭をチョップする。
高尾は頭をさすって緑間に文句を言った。
「いってーな!何すんだよ、真ちゃん!?」
「…お前ら、カップルでもないくせにこんなとこでイチャイチャするな。早く電車に乗れ!」
「ちょっと、真ちゃん!私達別にイチャイチャなんかしてないって!」
緑間は夏美を抱き寄せている高尾の背中を押して2人を無理矢理電車の中へ入れる。すし詰め状態なので勿論2人は密着する形となる。
一見美味しい状態だが、高尾は内心ハラハラしていた。
(やべー。夏美ちゃん、いい匂いする。しかもお尻がちょうど俺の下半身に当たってくるぜ…。かなり、ヤバすぎる!頼む、もってくれー!!)
満員電車のイライラと密着によるハラハラが高尾を問答無用に襲ってくる。色々と苦しそうな高尾を見て男バス部員たちはまた吹き出しそうになるほど、体がプルプルし、口元がニヤついていた。
ただ緑間1人だけ終始呆れている。
(全く、高尾のやつ、また下品な事を考えているな。この先も思いやられるのだよ。)
やっと目的地に着くと高尾はまず部長の大坪に一言言ってトイレへ向かい、自分を落ち着かせた。
(ふいー。良かった…。よし、頑張った俺!)
心の中でガッツポーズをしていると緑間がトイレに入ってきた。
「おい、高尾。大丈夫か?」
当然高尾は目が点になる。
「真ちゃん!?俺の事心配してくれたの!?」
「うるさい。さっきので疲れたとかいわないよな?今日はあいつらとやる日なのだからな。」
緑間の一言を聞いて高尾は口角をあげて挑発的な笑みを浮かべた。
「はは。当然だろ?それとこれとは話は別だ。絶対勝つぞ!」
緑間はそれを聞き安心して、高尾を待った。