第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
高尾君というワードが出てきて思わず私は頭から湯気が出るほど赤面し、必死で否定した。
「な!お兄ちゃん、からかうのやめてよ!高尾君の事、別にそんなんじゃないから!それにお兄ちゃんが大丈夫になるまで私どこも行かないもん!!」
そんな私をお兄ちゃんは子供をあやすように頭を撫で呆れたように言う。
「はいはい。そんなに心配されたら俺兄貴の立場がないぞ。」
「何言ってんの!遠慮しない!本当の兄妹なんだから!いつもお兄ちゃんに助けてもらってばかりだったから、今度は私が助けるんだもん!」
私はお兄ちゃんの肩に手を伸ばして叩く。またお兄ちゃんは抱きしめてくれた。でもさっきとは違い、優しく包み込むように。
「はは。夏美が俺の妹で本当に良かったよ。俺は大我と決着がつけれたらもうそれでいい。昔に戻れるかどうかはわからないけど善処するさ。ありがとう、夏美。…愛してるよ。」
またお兄ちゃんは頬にキスをしてきた。私は湯気どころじゃなくて、噴火する勢いで顔がボーっと熱くなる。口が回らなくて頭で文句を言う。
何で平然とこの人は女の子が喜ぶ事をするんだ!しかも自然とスマートに。愛してるって、映画でしか言わないよ!普通!
何も言わない私にお兄ちゃんは意地悪な顔でまたからかってきた。
「おいおい、何恥ずかしがってんだよ。兄妹だろ?」
「兄妹で普通愛してるとか言わないよ!」
必死で言い返す私にお兄ちゃんは全く動じない。むしろ面白がっている。
「だって空港でお前、I love you!って言ったじゃないか。意味同じだろ?」
「そうだけど、日本語だとなんか重いじゃん!」
「ふふ。夏美。お前は?」
もちろん大好きだけど、意地悪なお兄ちゃんに私は素直に言いたくなかったので、挑発気味にこう返した。
「…ウィンターカップで大我に勝ったら言ってあげる!絶対予選で負けんじゃないわよ!」
一瞬お兄ちゃんも豆鉄砲を食らったような顔をしたけど、妖しく微笑ながらもオーラに凄みが増していた。
「…ふふ。望むところだ。俺は絶対に負けない!!」
ここで話を切り上げて、私は自分の部屋に戻る。
なんとか秀徳と誠凛でウィンターカップに行きたい。
欲張りかな?
でも早くお兄ちゃんを楽にさせてあげたいの…。