第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
しばらくずっとそのままだったけど、私は昨日の喧嘩で1番言いたかった事を話した。
「…ねぇ、お兄ちゃん。もう知ってると思うけど、今年のウィンターカップに東京はあと2校出場できる。大我のいる誠凛と当たる可能性が高いのは今年しかないわ。」
ここまで言うとお兄ちゃんは察してくれて、腕の力を緩めてくれた。私はお兄ちゃんの顔をしっかり見て残りの言葉を伝える。
「もし、当たったら、大我に勝っても負けても昔みたいに戻れないかな?私、お兄ちゃんが辛そうなのもう見てられないの…。」
私は溜めていた涙をポロポロと零す。お兄ちゃんはそんな私を見て、途端に優しい顔になり涙を手で拭ってくれた。
怒ると本当に怖いけど、やっぱりお兄ちゃんは優しい。
「夏美。本当に昔から変わんないな…。そうやって人の心配ばかりしてたまに泣いたりするとこ。それがお前のいいところだけど、自分自身がいつか押しつぶされちまうぜ。でも、嬉しいよ。ありがとう夏美。あと、ごめんな。」
次の瞬間、お兄ちゃんは私の頬に軽いキスをする。多分アメリカのノリなんだけど、お兄ちゃんがあまりにもイケメンだし様になるから妹の私ですらいつも赤面する。
「ちょっと、やめてってば!ここは日本!それにお兄ちゃん、私の事褒め過ぎだよ。お兄ちゃんだからこんなに真剣になって悩んでるだけだもん。」
赤面し口を尖らせて謙遜する私にお兄ちゃんは必殺の微笑みを浮かべて、手を口元に添えて言う。
「別にいいだろ、俺の部屋なんだし。そう言って俺の事心配しなくなったら、あっさり今度は違う奴のとこに行くんじゃないのか?案外、さっきの高尾君だったりして。」