第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
「…嫌いじゃないです。」
(ごめんね、ずるいこと言ってるのはわかってる。けど、なんでか私の元から離れていくのは嫌だと思ったの。)
夏美は赤面して目を逸らしているが、震える声で精一杯答えた。高尾はやっと答えが聞けて、へにゃへにゃと気が抜けるものの、思わず夏美を持ち上げる。
「ちょ、ちょっと!下ろしてよ!」
そして持ち上げたまま、夏美ごとくるくると回る。
「…そっかそっか!正直に話してくれてサンキュ!」
「きゃー!怖い怖い!いーからおろして!」
降ろされた夏美は高尾を睨むが、彼には全く効果がない。何せ上目遣いで余計彼女が可愛く見えたからだ。
「言っとくけど、私好きとも言ってないんだからね!」
強気な夏美に高尾は臆せず、意地悪な微笑みを浮かべ挑発的な態度で彼女に迫る。
(強気な夏美ちゃんもいいわー!おもしれえじゃねえの!やっぱすぐ落ちるような女はつまらないしな!)
「おー、わかってるぜ!いいか!俺は絶対にお前を振り向かせる!覚悟しろよ…!」
高尾は夏美に自分の顔を近づけて挑発的な笑みを浮かべ、その猛禽類のような鋭い目で彼女をとらえる。
そんな彼を見て夏美は今まで経験したことないくらい心臓がバクバクして息が苦しくなる。だが、照れ隠しなのか声を荒げて言い放つ。
「の、望むところよ!」
(う、嘘!?本当に待つつもりなの!?)
2人とも自分達のやり取りに、初対面の時のように吹き出しそうになった。
だがそこで、ある人物に目撃されてしまい、2人とも冷や汗をかく。
「夏美!こんなとこで何をしている!?一体今日はどこ行ってたんだ!?」
そう、兄の氷室辰也であった。頭はcoolに心はhotが心情の辰也が夏美の事となると感情が抑えられず、怒声をあげながら2人にずんずんと近づいた。