第2章 二度ある事は三度ある
高尾が猛スピードで漕いだおかげで夏美は秀徳高校に始業時間のおよそ10分前に辿り着く。
高尾は到着した事を夏美に伝え後ろを振り向いた。
そして、彼女と目が合うとそのあまりの美貌に目を奪われてまじまじと見つめてしまう。
さっきはあまり彼女の顔を見る暇と余裕がなかったので余計にだ。
肩より少し長くて艶のある指通りの良さそうな黒髪。
ポニーテールをしてるので毛先の揺れが更に男心を擽られた。
雪のように白く滑らかな肌。
白い肌に生える桜色の柔らかな唇。
長くて量の多い睫毛にぱっちりした二重であどけなさを感じるタレ目。
おまけに右目下にある泣きぼくろが彼女のあどけなさを補って、色気を醸し出している。
(うっわっ!!確かに可愛いなとは思ったけど、こりゃ想像以上だわ。不謹慎だけどラッキーじゃね、俺?)
まるで天使が自分の前に舞い降りたような感動をした高尾だったが、まじまじと見られた夏美はキョトンと困った顔をした。
「あの、あたしの顔に何かついてる?あ、ですか?」
「へ?全然全然なにも付いてないぜ!てか、むしろごめん!」
「そう?ならいいんだけど。あ、です!」
夏美は高尾の様子を不思議に思ったが、まあいいやと気にせずにそれ以上何も聞かなかった。
(あ〜どうしよ。何やってんだよ!マジでかっこ悪いぞ俺!にしても困った顔も可愛いなぁ)
高尾は今さっきの行動を忘れたいぐらいの恥ずかしさを生まれて初めて感じたが、そこは秀徳のポイントガード(PG)として、咳払いしてから冷静さを一旦取り戻す。