第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
第3クオーターの休憩が終わったちょうどその頃に、辰也はおにぎりを届けに行こうと出発した。秀徳まではアップがてら走って向かっていた。
秀徳の正門にたどり着いて体育館を探すが、そんなに広くないのですぐに見つかった。
(バッシュのスキーム音とドリブルが聞こえるな。今ちょうど試合中か。そこのドアから覗いてみよう。)
辰也は体育館のドアのガラス窓から顔を覗かせる。そしてちょうど緑間が長距離3Pシュートを打って綺麗に入ったのを目撃した。
(…これは、想像以上だ。NBAの練習動画で同じのを見たことあるけど、まさか試合で打って入るなんてな。全く、アツシもタイガにもキセキの世代には驚かされてばかりだな。)
辰也はふぅっと溜息をつきながら思った。そして次に彼はある人物にも目がいく。
(あの10番、いいPGじゃないか。バックパスがいつもあんなにいいところに流れるように送ってる。相当視野が広いんだな。)
そう、高尾である。ドライブで相手を抜く振りをして股下からパスを送ったり、時にはレイアップをして自分でスコアを稼いでいた。
そしてちょうど第4クオーターが終了し、笛を吹く音が辰也の耳に聞こえた。因みにその笛は夏美が吹いていた。がしかし、彼女は大好きな兄に気がつく事はなかった。
両チームの選手が整列して挨拶をし終えて、軽く総括をする。
その時ちょうど辰也側のドアで秀徳が集まったので、高尾は覗いていた辰也に気がついた。
(ふふ、ウィンターカップが楽しみだな。)
辰也は妖しく微笑み、選手達がばらけたところを狙って体育館に入ろうとする。その時高尾が目の前に来て、ドアを開けた。
「あ、君、ちょうどよかった。これを夏美に届けてもらえないか?」
辰也は微笑みを浮かべながら高尾に頼む。高尾は初めて見る辰也のあまりの美貌に驚きを隠せない。
(誰かいんなと思って来てみたけど、何何、この人!?めちゃくちゃイケメンなんですけど!?
なんつーか、同じ男とは思えない雰囲気とゆーか色気を感じるとゆーか。)
なかなか反応しない高尾に辰也はキョトンとした顔をして様子を伺った。
「どうたんだい、君?」