第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
夏美の予想通り、体育館に入ってきたのはやはり宮地であった。宮地はバスケットゴールを棒でクルクルと回して、準備していた。
夏美は急いで宮地のそばにボール入れを押し出し、ボールチェックを急ぐ。
「すいません!宮地先輩!今ボール用意するんで!」
綺麗なボールに当たったので、さらっとチェックをして宮地に渡した。
「うぃっす。って、氷室?お前目腫れてるけど、どうした?」
(…しまった!!)
夏美の肌が白いせいもあるのだろうが、赤面したり泣いたりするとすぐ人にばれてしまうのだ。人の目を見て話をするのもここに来て裏目に出た。
流石に今まで泣いてました、とは言える筈がないので夏美は頭に手をおき、誤魔化すように笑って言った。
「あー、さっきコンタクトずれちゃって!」
それを聞いた宮地はホッとしたのか、茶化すように笑う。
「なーんだ!全く、氷室!オーバーリアクションにも程があるぜ。このアメリカ被れめっ!」
「あはは、つい!って今の言い方酷いですよ!」
(やった!誤魔化せた!)
夏美は宮地を納得させたと思い、内心ホッとする。また宮地の言葉に棘があるのはいつものことなので慣れていた。そして宮地はまた茶化すように言ってシュートする。
「いーんだよ!これが俺のキャラなんだから。」
「うーん、でももうちょっと優しい方が女の子にモテますよ?先輩、せっかくかっこいいのに。勿体無いですよ!」
夏美は意地悪な微笑みを浮かべて、宮地を茶化す。そんな夏美に宮地は見惚れて、何も言い返せなくなりそうになる。
(あー、もー!年下に茶化されてんのに何やってんだ、俺!てか、そんな顔もすんのかよ氷室は。ずりーぜ、全く。こういう時こそ、みゆみゆを思い出すんだ!)
年上のプライドで平静を取り戻そうとする宮地は一旦咳き込んだ。