第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
「私には一つ上の兄がいます。兄は小さい頃バスケを始めてから、gameやlessonが終わっても暗くなるまでずっと自主練をしていました。
毎日の様に練習するもんだから、ちょくちょく何処かしら怪我したり、ばてたりしてて、辛くないのか兄に聞いたんです。」
夏美はさらに一呼吸置く。そして宮地も黙って聞いていた。
「そしたら兄は好きだからこそ、ここまで練習するんだ、それでもっと強くなりたいんだ、ただそれだけ言いました。
そんな兄を見てたらバスケに興味を持って、次第に兄を何か支える事はできないかと思い、マネージャーに興味を持ち始めました。
だから、私はバスケの楽しさと辛さを両方理解してるし、ミーハーに仕事をやるつもりも全くありません!!」
夏美は全て言い切り、自分の気持ちを精一杯宮地、いやバスケ部一同に伝えるぐらい声を張った。
(…お願い!伝わって!)
ただそれだけを願い夏美は宮地のことを、強い意志を持って見つめた。
そんな夏美に宮地は参り、頭をぽりぽりかく。
「…氷室、お前の気持ちは解ったよ。ただ俺もちょっと言い過ぎたわ、ごめんな。その、これからもよろしく頼むわ。」
夏美は一瞬目が点になるが、宮地に認められたことが嬉しくて溢れんばかりの笑顔になった。
「…先輩!はい、精一杯頑張ります!」
バスケ部一同はその一部始終を見て、夏美に拍手を送った。拍手を送られて夏美はさらに嬉しくなって赤面し、顔が緩む。
「へへ。何か恥ずかしいな。」
夏美は人差し指を丸めて頬をちょんちょんと触りながら言った。
そして高尾は夏美に対する気持ちがこれを境にさらに深まったのだ。
(……すげーな、夏美ちゃん。あの宮地サン相手に。やっべー、さらに好きになっちまったわ。)