第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
「いつも助かるぜー。俺より早く来てくれて。じゃあ、また後でな!」
(宮地先輩っていつも他人や自分にも厳しいイメージしかないから、何だか優しいと調子狂うな。)
夏美は叩かれた方の肩を掴みながら顔をきょとんとさせる。
実は夏美が入ってきた時に厳しい事を言われたことがあるのだ。
ーーそれは夏美が転校してすぐマネージャーになった日の事である。
夏美があの日バスケ部のマネージャーになるとしった男子部員は大騒ぎしてかなり浮足立っていた。
このままだと部員達の集中力が切れると思った宮地は地団駄を踏み一旦男子部員を黙らせた。
「おめーら!女ごときで騒いでんじゃねーよ!!さっさと練習しろや!!轢くぞ!!」
「おー、今日も一段とこえー!あんなに可愛い子入るってのにみゆみゆには敵わねぇのか」
高尾は言うと緑間も同じことを思ったのか「ああ、そうだな。」と答えた。
彼等は宮地に聞こえないように文句を言ったつもりだが、宮地は聞き逃さなかった。
「おい、やる気ねーなら帰っていーんだぜ。」
さらに凄みが増した宮地に男子部員一同は唾を飲み込み、黙って練習に戻った。
そして、男子部員達が待ち望んだ夏美が中谷監督と共に体育館へ入る。
バスケ部一同に向けて微笑む夏美にその場にいたもの皆、あまりの美貌に息を飲んだ。それは宮地も例外ではなかった。
(確かに可愛いが、みゆみゆには敵わねーよ。)
さっき一喝しておきながら、彼女に少しでも見惚れた自分を情けなく思い、宮地は推しメンのみゆみゆを思い出して気を取り直す。
「昨日転校してきました、氷室夏美です。バスケが小さい頃から大好きでした。精一杯皆さんをサポートしていきますので、よろしくお願いします!」
夏美は深々とお辞儀をして簡単な自己紹介を終える。バスケ部一同から拍手喝采であった。