第3章 エース様に万歳!
お兄ちゃんにため息を付かれ呆れた様に言われて、私はバックにしまったケータイを取り出し、履歴を確認した。
「わっ!ごめんね!お兄ちゃん。気付かなくて。」
精一杯両手を合わせて謝り、お兄ちゃんは「もういいよ。」とまた私の頭を撫でた。
お兄ちゃんが許してくれて私は顔を上げて胸を撫で下ろし、ホッとする。
「てゆーか、月曜日って祝日じゃないよね?」
「陽泉の創立記念日なんだよ。だから三連休なんだ。夏美は明日オフ?」
「ううん、練習試合がウチの学校であるの。」
お兄ちゃんは首を傾げて、少し考えている。
「そっか。じゃあ明日早いんだろ?風呂入ってきな。」
私はお兄ちゃんにそう言われて、部屋からパジャマと下着を持ってきてお風呂に入る。身体を洗って湯船に浸かり考え事をする。
は〜。お兄ちゃんに本当の事言ったらきっと怒っただろうなー。
男の子と普通に話すのは平気になってきたけど、付き合うのはやっぱり正直怖い。ってまだ何も起きてないのに!!
アメリカではお互いにデートを重ねて波長が合えば特に告白をせずとも自然の流れでカップルになるというのが主流だ。相手の友達や家族に紹介してくれて初めて付き合ってるんだとわかるのだ。
厳密に言うと日本語の「付き合う」は英語には存在しない。
そしてめでたくカップルになるとすぐ結婚するらしい。
と、昔お兄ちゃんと大我のバスケの師匠であるアレックスに教えられたことを思い出す。
ママから聞いたパパとの馴れ初めや日本の恋愛事情と違うことに驚きを隠せなかった。
…私はまたあの時のことを考えると、お兄ちゃん以上に私のことを大切に思ってくれる男の人なんていないと今でも思ってしまう。
だけど、さっきの高尾君の笑顔や仕草を見てると昔の嫌な事を忘れる。
それが一体なんでなのかはわからない。
けど、彼とお喋りするのが楽しいのは確信している。
…それにさっきの高尾君に不意にもドキドキしてた。
でももう、いちいち考えてもわからないことはしょうがないので私はお風呂を出て髪を乾かし、整えて、二階に上がりベッドに入ってもう寝た。