第1章 出会いは突然に
考えながら登校してる夏美の前方に向かい側からきた自転車が彼女にぶつかろうとしている所で、どちらもお互いを認識して急いでブレーキを掛けた。
「きゃあああ!」
「おわ!」
「どうした、高尾!?っぐ!!」
正面衝突し、夏美は自転車ごと吹っ飛んだ。幸いにもブレーキを掛けていたので遠くまでは行かなかったが。
一方相手はぶつかって倒れはしたが吹っ飛ばされはしなかった。
それは自転車でリアカーを引いていたためである。
しかもリアカーの荷台に人が乗っていたのだ。
乗っていたのは緑色の髪をした眼鏡をかけた男子高校生、緑間真太郎である。
緑間はリアカーと一緒に横に倒れてしまった。
一方リアカーを自転車で引いてた男子高校生は高尾和成。
高尾も緑間と一緒に横に倒れたが、自分の痛みを無視して吹っ飛ばされた夏美の元へ駆け寄った。
「すんません!!大丈夫ですか!?本当にごめんなさい!!」
「うう、いたたた…」
頭を打ちはしなかったものの、夏美はぶつかったショックで目が開けられなかった。
彼女の右膝の擦り傷に気付いて高尾はティッシュを取り出し、膝の傷の出血を抑えた。しかし、大きく擦れ少し抉れていたのですぐには収まりそうにない。
「血止まんねーな。真ちゃん!テープ持ってない?!」
「それより高尾、前を見て漕げ!おかげで今日のラッキーアイテムの狸の信楽焼きがこわ」「んなこたぁいいから、早くテープ貸せ!!」
「高尾?一体どうしたのだよ?」
高尾の焦り様が凄まじいので、緑間は地べたから起き上がり、彼の元へ駆け寄った。