第3章 エース様に万歳!
それから2人は取り止めのない会話を続けていたが、夏美が何気無く腕時計を見ると、元々大きな目をさらに大きくさせた。もう夜10時前になろうとしている。
「嘘っ!もうこんな時間!?高尾君もう遅くなっちゃうから帰ろっか!」
夏美と高尾は慌てて帰る支度をする。
「マジ!?ごめんな、気付かなくて。門限大丈夫?もう遅いし、夏美ちゃんの家まで送ってくよ!」
「ううん!家今日は誰もいないし、大丈夫!嬉しいけど、高尾君が遅くなっちゃわない?」
慌てる高尾を安心させるように落ち着いて夏美は答える。
「いーの!夏美ちゃん女の子だし、この辺あぶねえからさ!それに俺は大丈夫だし!」
自分の心配をしてくれる夏美に、高尾は彼女の肩を叩く。
(確かにこの辺暗くて怖いし、いっか!送ってもらおうかな)
「…じゃあお願いしようかな」
2人は店を出て、夏美の家に向かって自転車を漕ぐ。夏美の家に到着すると、2人とも自転車から降りる。
そして夏美は駐車場の空いてるスペースに自転車をしまってから、高尾に礼を言った。
しかし、高尾は難しい顔をしており夏美は不思議に思って尋ねた。
「どうしたの?」
夏美はキョトンとした顔をする。
(今言うんだ!言わなきゃ男じゃねえ!)
そして高尾は、息を吸い込んで赤面させながら夏美に尋ねる。
「…明後日の日曜日、空いてる?」
「…空いてるよ!」
「夏美ちゃん、その、映画見に行かない??さっきいってたやつ」
マジバーガーにいた時に趣味やオフの日は何しているかなど話し、今やっている映画の話になって夏美と高尾は話題のホラー映画を見たいと意気投合していたのだ。
そして内心高尾は夏美がそういうのを好きな事にも驚いていた。