第9章 WC〜後は天命を待つのみなのだよ〜
ーSide 高尾ー
「いいよ、キス、して。カズ君…。」
夏美は俺を求めて甘く艶のある声で囁き、目を閉じた。
先程俺はウルウルさせた目で俺を見上げる夏美の顔が色っぽくて可愛かったから、我慢できそうになくてキスしたいと言ってしまった。
辰也さんに壮絶な過去を聞かされたばかりだから、段階踏んで行こうと思ったのに、これじゃ俺本末転倒じゃねーか。
でも大好きな女の子に求められちゃ男として無下にできないし、それにあんな過去を背負ってるのに俺を一心に信じようとしてくれてるのが本当にいじらしくてマジでたまんねぇ。
ずっとこうしたかった…。こんな可愛い子が手に入るなんて、俺は夢なんじゃないかと疑うくらい信じられずにいる。
とりあえず夏美の両頬に手を添え直して感触を確認するとやっぱり現実で起こっている事と認識させられた。
「…夏美、お前。反則っしょ。マジで可愛いすぎ。」
そして俺達はお互いの唇を重ね合わせ、上唇を啄ばむようにキスをした。俺は唇を重ねながらこう思っていた。
こんな軽いキスだけで幸せになるなんて思ってもなかったぜ。じゃあディープキスしたら一体どうなんだ?
欲張って調子に乗り、タイミングを見て舌を侵入させる。
「…!んぐっ。んーん、んんー!」
夏美は苦しそうにするが、俺はまだ繋がっていたくて夏美の逃げ回る舌を追い掛けて俺の舌と無理矢理絡ませた。
やべぇ、夏美を感じる。超幸せ。…もうちょいいーかな。
と思った矢先に聞き覚えのある声がたくさん聞こえて俺はかなり焦った。