第9章 WC〜後は天命を待つのみなのだよ〜
「おい、お前達!一体こんなとこで何しているのだよ!?」
「こんなとこでいちゃついてんじゃねーよ!轢くぞ!」
「夏美ちんに何してんだよ、このでこっぱちー!」
なんでだよ!タイミング悪過ぎ!しかも何で紫原までいんの!?
俺は急いで唇を離すと、まるで別れを惜しむようにお互いの唾液が糸を引いてるのがわかった。
「…カズ君!絶対調子乗ったでしょ!?」
当然夏美は睨んでちょっと怒っている。でもここはあいつらがいるし、落ち着ける場所まで行きたかった。
「…わりぃ!でもここはずらかろうぜ!」
「え、ちょっと!?」
俺は夏美の手を引っ張って走り出す。
「待つのだよ、高尾、氷室!」
「高尾、今度こそしめてやるから覚悟しやがれ!」
「夏美ちんを返せ!」
真ちゃん、宮地さん、おまけに紫原が俺達を追い掛けてくる。
「うわーなんなんだよ。そっとしておけし!」
俺はあいつらに向かって反論するも虚しく終わる。
「カズ君がディープキスなんかするからでしょ!!」
夏美は体力がないからすぐに息が上がって苦しそうに走っていた。
「しょうがねえじゃん、だってお前が好きなんだから。」
口を尖らせて言うと夏美はやれやれと言った感じで呆れていた。
「…もうカズ君のエッチ。はぁ、はぁ、もうだめ…。」
「ったく、しょうがねーな。」
へばった夏美をおぶるため俺は中腰になり、彼女を催促する。
「え、いいよ!自分で走れる!」
「いーから、あいつらに捕まったら面倒くせーぞ。」
「…言えてる。」
結局諦めた夏美は俺に飛び乗り、体勢を整える。
「それじゃ、捕まってろよ!」
「うん。」
夏美が言うと俺は走り出す。
あいつらを撒くため右折と左折を繰り返してようやくあいつらの姿が見えなくなり、走るのをやめて歩き出す。