第9章 WC〜後は天命を待つのみなのだよ〜
控え室に戻り、今日の総括をして明後日の決勝戦に備えここで各自解散の形になる。
でも次の試合は海常対洛山だし、どっちかが決勝戦の相手になるので見に行く人の方が大多数を占めた。
当然私と高尾君も見に行く事にする。
ーー結果、洛山の勝利となり決勝戦の相手が決まった。と同時に去年のWCで雪辱を晴らせるチャンスが来たということになる。
もう目玉の試合はもう幕を閉じたのでここで本当の解散となる。高尾君は先輩達や真ちゃんに先に帰ると一言言い、私達は体育館の外を出て適当な場所に行き2人っきりになる。
「ここでいっか!」
「…うん、そうだね。」
私達はお互いに見つめ合う。
その時冬の寒風がひゅうっと吹いて私が両手を擦って体を震えさせていると、高尾君が私を包み込むように抱きしめてくれた。
「…ほら、これで寒くねーだろ?」
「うん、ありがとう。高尾君、暖かい…。」
私は彼の胸元に顔をうずめる。すると彼はまた耳打ちをしてきた。
「これからは、もっともっと、こうやってくっつけるんだぜ…。」
また体がビクッとなり、私は赤面する。もうこれって確信犯でしょ。だけど、なんでか知らないけど、甘くて気持ちいい感じがしていつも拒否ができない。
「…もう、高尾君てば。」
私は彼の顔を見上げ目が合うと、彼は一気に真剣な表情になる。
「いい加減さ、下の名前で読んでくんない?夏美。」
「…じゃあ、カズ君。」
こうして呼び方を変えるだけで一気に距離が近付いた気がするのはなんでだろう。不思議だね。そう思うと私は一気に顔が綻ぶ。
「…夏美。初めて会った時からずっとずっと好きだった。正式に付き合ってくれねーか。」
カズ君はこれ以上ないくらい、真面目で優しくてまるで包み込むような声色と表情で告白してくれた。
勿論、私の答えはただ一つ。
「はい…!よろしくお願いします。」