第9章 WC〜後は天命を待つのみなのだよ〜
スタメン達はブザーがなって、スコアを確認し勝利を確信すると宮地の元へと全員が集まり、宮地はその勢いで倒れてしまう。
「宮地さん、マジ最高っすよ!俺、一生付いて行きます!!」
「高尾…!いーから、お前らどけ!整列すっぞ!!」
内心嬉しがってるくせに宮地に怒鳴られるもスタメン一同は怖がらず寧ろ笑顔のまま「はい!」「うっす!」とそれぞれの返事を元気よく返す。
両チーム整列し挨拶を済ませると、辰也が高尾の元へ寄ってきた。
「…君にはまんまと一杯食わされたよ。その鷹の目で仲間の位置を認識してたんだろ?」
切なそうに悔しく言う辰也に対して、高尾は頬を指でぽりぽりとかきながらおちゃらけた口調で言った。
「いやーだって俺だけじゃ辰也さんには敵わないっすもん。」
「な!」
あっさりと認める高尾に辰也は面を食らった。
「そりゃ俺だけで止められたら最高にかっこいいし、やりたいっすよ。けど、俺の専門じゃないし、見栄張って負ける方がかっこ悪いっすから。」
「…君は強い人なんだな。」
自分の限界を知り仲間を引き立たせる事に徹した高尾に辰也はふっと口角を上げる。
「あと夏美ちゃんに昔言われたんすよ。鷹の目で辰也さんを出し抜けるか見てみたいって。」
「夏美のやつ、そんな事言ってたのか。」
「まあ、つまり、愛の力ってやつっすよ!」
両手でハートマークを作る自慢気な高尾に辰也はやれやれといった感じで少々呆れるも、逆に清々しい高尾を憎みきれない。
「はは、悔しいけど君になら夏美を任せられそうだよ。」
辰也に認められ高尾は心底嬉しがり、辰也の両手を握り締めてブンブンと振り回す。
「マジっすか!?よっしゃああぁぁ!!ありがとうございます!!超大事にします!!」
「おいおい、やめてくれって。…夏美は少々我儘だが素直で優しい、とてもいい子だよ。泣かせたら唯じゃおかないぜ。」
微笑みながら最後に釘を刺すも高尾は動じず、辰也の肩を馴れ馴れしく組んだ。
「それ込みで好きなんすよ!任せて下さいよ、俺が辰也さんの分まできっちり愛しますから!」
辰也はそんな彼を除けようともせず、ふっと微笑んでいた。